お客様が望んでいるのは、「製品」そのものではなく、問題解決。ソリューション営業を実践するコツ

企業が直面する問題や課題が複雑化した結果、単純に「〇〇(製品名)がほしい」と明確な要求を示せるお客様は減少しました。そこで、やみくもに自社製品を売り込もうとするのではなく、お客様が抱える困りごとや悩みごとを適確に把握し、その解決策(ソリューション)とともに自社製品を提案できる「ソリューション営業」が大切になります。今回は、ソリューション営業を実践するポイントをお伝えします。

受動型・御用聞き営業と能動型・提案型営業の違い

御用聞きといえば、サザエさんに登場する三河屋さんを連想される方も多いでしょう。時々、勝手口にやってきて「何かご入用のものはありませんか?」と聞く。するとサザエさんが、「そうね、お醤油がなくなりそうだから1本持ってきて」と注文を出してくれる。あるいは、「お米10㎏配達してください」と注文が入る。

お客様のほしい製品が明確な場合、こうした受動的な御用聞きスタイルの営業で十分に成果が出ます。しかし、消費者向けならまだしも、企業向けの営業においては、御用聞き営業はほとんど通用しなくなってきています。

そこで今、多くの企業の営業部署が採用しているのが能動型・提案型の営業です。お客様からの発注を受け身で待つのではなく、こちらから能動的に提案を行う。ただし、「自社製品をお買い求めください」と製品を売り込もうとするのは単なる押し売りにすぎません。提案対象は、製品ではなくソリューション、すなわち「解決策」です。

お客様の事業内容や現在の取り組みについて詳細にヒアリングを行い、お客様が困っていること、悩んでいることが何かを把握します。そうした顧客が抱える問題や課題について、「こうしたらどうですか?」という解決策を考えて提案するのです。

この解決策にはもちろん、自社製品の採用が含まれていることが前提にはなります。ただ、他社製品との組み合わせが必要な場合は、どのような製品の組み合わせや連携が必要なのかについても触れる。また、そのソリューションの導入において、業務手順の変更や組織体制の見直しを行った方が望ましいのであれば「僭越ながら……」と、踏み込んで言及すべきかもしれません。

このように、能動型・提案型の「ソリューション営業」は自社本位の発想ではなく、顧客本位、すなわち顧客の立場に立って考え、大きな枠組みを提示するアプローチです。顧客本位の営業スタイルは、お客様が本当に望んでいるものを提供できることから、受注率を高め、また継続的な取り引きにつながる信頼関係を高めることができるのです。

ソリューション営業が求められる背景

なぜ近年、ソリューション営業が顧客に歓迎される営業スタイルとなったのでしょうか。その背景については大きく以下の2点が挙げられます。

  1. 顧客ニーズが高度化・複雑化

例として、コピー機について考えてみます。初期のコピー機は単に書類を複写するだけのものでした。その時代、お客様のニーズは端的に「コピー機がほしい」で済んだのです。ところが、オフィスがネットワーク化され、インターネットにもつながるようになると、「コピーだけでなくFAXも送りたい」「相手のパソコンにデータとして送りたい」「書類をPDF化したい」などと、ニーズが高度化・複雑化していきました。さらに、環境問題への配慮からペーパレス化の推進や、不要となった紙の再生ニーズも高まっています。このため、コピー機の営業においては、企業全体の文書管理や環境問題対応も踏まえたソリューションの提案が不可欠となっているのです。

  1. モノだけでなく、サービスも組み合わせた「仕組み」としてのニーズの高まり

現代はモノとモノが相互につながり、情報をやり取りし合うことが可能になっています。また、「売って終わり」の売り切り型の製品は減り、販売後の充実したサポートサービスが求められる製品が増えています。例えば、航空機の重要部品にはセンサーが取り付けられており、使用時間が計測されることで摩耗状態を推定。交換時期を適確に予測し、壊れる前に新品に交換するといったサービスが提供されているのです。こうした「モノ+サービス」を仕組みとして提供することは、お客様が本質的に抱える問題へのソリューションとして、ますますニーズが高まっているといえます。

ソリューション営業で成果を出すために有効な営業活動とは?

では、ソリューション営業を実践するうえで、有効な営業活動のポイントを3点お伝えしましょう。

  1. お客様の問題・課題を把握するためのヒアリングを行うこと

初めての営業訪問時、営業担当者はしばしば、製品資料を見せながら一方的に自社製品について話してしまうものですが、その製品に対してお客様は興味を持っているのでしょうか? たいして興味を持っていなかった場合、うんざりされてしてしまい早々と失注になることでしょう。営業担当者は、初回面談時には「タスクゲッター」を目指さなければなりません。「タスク」、すなわちお客様の抱える課題・問題をゲットするために、お客様の現状を丁寧にヒアリングすることに徹しましょう。

お客様が困っていること、悩んでいることはすんなりとは出てこないかもしれません。「それはどうしてでしょうか」「なぜそのようなことになるのでしょうか」など、問題の根幹に迫るための質問テクニックを身に付けることを推奨します。

  1. お客様の問題・課題を適確に構造化した仮説を構築すること

お客様のヒアリングが終了したら、ヒアリング内容を整理します。お客様からは多くの困りごと、悩みごとが聞けたことでしょう。例えば、人材関連についてのヒアリングを行った場合、「離職率が高い」「望みの人材が取れない」「新人が育たない」などなど、粒の大きさの異なるさまざまな問題・課題をゲットできたとします。このままでは、具体的な解決策につなげるのが難しいために、これら問題・課題の相互の関係性を考え、原因と結果の関係などを明らかにします。すなわち、問題・課題の構造化を図り、そもそも何が問題なのか、どこを解決すれば全体にも良い波及効果をもたらすのかについての「仮説」を構築します。

この仮説構築については、ロジカルシンキング(論理思考)のテクニックが役に立ちます。原因と結果の関係をピラミッドのような形で整理する「ピラミッドストラクチャ」を作成できれば、お客様を説得する有効な資料にも使えます。

  1. 上記仮説に対する解決策を考案し提案すること

お客様の抱える問題・課題を構造化し、根本原因についての仮説を立てたら、具体的な解決策を立案します。ここでは、あるべき姿(理想)を提示することでお客様に期待感を与えつつ、現状とのギャップ(乖離)を認識させ、そのギャップを埋めるためにどんな解決策が望ましいのか、また解決策を実行に移す際に役立つ製品やサービスを提示します。

上記のような流れであれば、お客様も腹落ちしやすく、自社製品・サービスの採用についても前向きに検討してくれることでしょう。

まとめ

「顧客がほしいのはドリルではなく、ドリルを使って空ける“穴”である」という有名な言葉があります。自社製品を売りつけようとするのではなく、お客様の課題を解決しようとする能動的、提案型の「ソリューション営業」こそが高い成果につながります。

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ワークハピネス
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