事例から考える「女性活躍」が目指すもの

女性の社会進出は、以前より格段に進みました。しかし一口に女性の活躍といっても、その方法は業界や企業によってさまざま。管理職の登用割合を増やしたり、育児やプライベートとの両立を促進する制度を設けたり、女性ならではの目線から事業のアイデアを得たりと、各社が個性的な方策を打ち出しています。この記事では、実際に女性が活躍する企業を紹介し、具体的な取り組みとそれがもたらした効果について見ていきます。

女性活躍の背景と動き

まずは、日本における女性活躍の大まかな動きを確認しておきましょう。

女性の活躍が進んだ背景

女性の活躍が進んだ背景には、さまざまな社会的要因が絡み合っています。少子高齢化による労働人口の減少、男性の給与だけでは家族の生活が困難に陥る世帯の増加、キャリアを重視するようになった女性の意識変革などです。これを受け、企業でも女性が働きやすい職場環境を整えていく動きが出てきました。政府も「女性活躍推進法」(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案)を定め、2016年10月より制度を開始しています。

国が力を入れる女性活躍推進法とは

政府は、女性活躍推進法の最終的な目標を「豊かで活力ある社会の実現」とし、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針を策定しました。女性の採用比率や男女別勤続年数といった女性の活躍に関する状況の把握や、改善すべき事情に関する分析、それを踏まえた「事業主行動計画」の策定・公表などを、国や地方公共団体、民間事業主に義務付けています。

女性の活躍がもたらすもの

こうした国全体での女性活躍を目指す動きが進んだ結果、女性社員の採用や管理職登用の増加、労働環境の改善、ワークライフバランスを考慮した制度の制定、女性の意見を取り入れた商品開発など、一定の効果が現れてきています。とはいえ、実際の制度や取り組みは企業の個性によってさまざまな形があります。それぞれの企業の事例から、その多様性を紹介します。

女性管理職の増加と働きやすい環境づくり

女性活躍のための取り組みとして、女性管理職の増加と、女性が働きやすい環境作りに力を入れている企業の例を見てみましょう。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車は、1992年に女性総合職の本格採用を開始。2002年には、ダイバーシティプロジェクトを立ち上げ、育児休職を2年間に拡充したり、時短勤務制度や在宅勤務制度を導入したり、あるいは社内託児所を設置するなど、育児と仕事の両立を支援する活動を充実させています。また、育児休職後の復職者に向けた、キャリアプラン再構築のためのセミナーも定期的に開催。その結果、女性総合職の退職率は2003年度~2013年度で5.8%から1.7%へ低下し、女性管理職も2004年度~2014年度の10年間で16名から101名へ大幅に増加しました。

富士電機株式会社

富士電機株式会社では、女性先輩社員が後輩社員のメンターとなる「シスター制度」を取り入れています。今後の仕事の進め方やキャリアについて、女性の先輩社員に相談できるため、女性が抱きやすい悩みを共有できます。女性社員によるキャリア交流会も実施し、現場の生の声から、キャリア開発や仕事と生活の両立に関する問題点を洗い出しています。このような活動を通じて、女性の幹部社員は2006年度~2013年度の間に4 名から40 名と10倍の増加となっています。

株式会社イトーヨーカ堂

もともと女性を多く採用していますが、より女性が働きやすい環境の整備に力を入れています。育児休業は最長で子どもが満 3 歳になるまで、介護休業は最長で1年、子ども一人につき月8,000円支給する子女手当を実施し、午後7時以前に退社できる時短勤務も取り入れています。また、管理職が残業時間を比較管理できる就業システムを導入し、残業の見える化や誰がどの作業を行っているかを見える化し、労働時間の改善を促しています。その結果、結婚・出産・育児を理由に退職する人は毎年減少し、2001年に1人だった女性店長も、2013年には18人へと増えました。

株式会社資生堂

資生堂の取り組みでは、化粧品会社では唯一実施している「カンガルー制度」が特徴的です。店頭のビューティーコンサルタントが育児時間制度を利用する際、代わりに業務を行う「カンガルースタッフ」を配置するというもので、2013年 には1,000 名以上のビューティーコンサルタントがこの制度を受けています。また、2005 年より開催している「子どもを招待する日」も独特です。社員の子どもを会社に招き、同社の仕事を見学・体験してもらうというもので、社会科見学的な側面や親の仕事への理解を促します。2013年からは子どもだけでなく親子で参加できる「ファミリーデー」に変更されました。また、男性の育児に対する育児啓発も重視し、男性社員対象のイベントをランチタイムに導入する「イクメンランチ」も開催しています。

女性ならではのアイデアの採用や適材適所を考えた配属

次は、女性の視点を活かす意見の採用や、配属を実施している企業の取り組み事例を見てみましょう。

株式会社ミヤタコーポレーション

この会社では、「誰でも、どこでも、どのような形でも仕事が出来る」ことを目標とした柔軟な組織作りを行っています。妊娠・出産に伴い、外回りが難しくなった女性営業職を、本人の希望を踏まえて事務職を取りまとめる業務推進室長に任命。本人の実力もあり、育児休業復帰後は執行役員に昇格しています。妊娠中でも活躍できるよう考慮された配置が功を奏した形です。これに代表されるように、同社は公正な人事と適材適所の配置を積極的に実施しています。

ユニー株式会社

ユニーでは、女性の意見を製品開発に活用しています。2013年に「スタイルワン研究所」という組織を発足し、女性従業員の声を集め、PB(プライベートブランド)商品の開発に活かす計画を開始しました。生活者としての女性視点から改善点を指摘してもらい、数々の商品が生まれました。なかでも、PB商品プライムワン「こだわりの贅沢」シリーズは、高価格帯のレトルト惣菜として知られています。

日産自動車株式会社

日産自動車の販売店では、車を購入する女性が増えていることを背景に、車の使い方を提案するカーライフアドバイザーや、点検・修理専門のテクニカルアドバイザーとして、女性の専門スタッフが活躍しています。技術に詳しくない人にも分かりやすく、女性のライフスタイルに合わせた車の提案を行っています。女性カーライフアドバイザーの勉強会も行われ、日々、知識や技術のブラッシュアップが行われています。また、女性社員のアイデアによる店舗のインテリアやレイアウトを採用したり、イベントを開催したり女性に親しみやすいイメージを作り出す工夫をしています。

まとめ

女性が活躍するためには、企業が女性視点に立ち、そのライフスタイルに寄り添うことが大切です。男性とは異なる女性の考え方や働き方を尊重しながら、積極的に体制を整えていくことが重要といえるでしょう。仕組みや制度を作るだけではなく、実際にその制度を活用するよう働きかけていくことも求められます。また男女ともに、仕事と生活に対する意識を開発していく取り組みも必要となります。女性が「特別扱い」になってしまう職場環境ではなく、男女の区別なしに必要に応じた働き方ができ、適切な制度を利用できることが最も大切なことなのです。


参考:

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ワークハピネス
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