集合研修をより効果的に活用するために

研修の形として代表的なものに、受講者を一同に集めて行う集合研修があります。複数の人間が集まる対面型ならではのメリットが多い反面、時間・場所・人・コストなどに制限があります。集合研修のメリット・デメリットを明らかにして、どのようにすれば集合研修をより効果的に活用できるのか、考えてみたいと思います。

集合研修のメリットとデメリット

まず、集合研修のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

メリット 

集合研修の最大の特徴は、講師ならびに受講者が同じ時間・空間に集まって行われるということです。複数の受講者が集まることで講師と対面するだけでなく、他者の考え方などを直接感じられる集合研修には、ほかの形式では得難い長所が数多くあります。

  • 同じ体験を共有することで一体感が生まれる

同じ研修課題に取り組むことで、受講者の間に一体感や仲間意識が生まれることが期待されます。

  • 強制力や緊張感があり集中できる

一人で学習する場合、マイペースでできる反面、気が散らないような努力が必要です。反対に集合研修の場合は、特定の時間・空間でほかの人と一緒に行うという環境が整えられているので、強制力や緊張感があり、課題に集中しやすくなります。

  • 質疑応答やフィードバックがその場でできる

研修途中で疑問が生じた場合に、その場で質問して解決でき、講師と受講者が互いにフィードバックをし合えるのは、対面型の集合研修ならではです。

  • 情報交換や人間関係の構築ができる

集合研修は、日常の業務を行っているときにはなかなか交流できない、他部署やほかの支店の人たちと情報交換するよい機会であり、研修後もプラスに働く人間関係を構築できる場でもあります。

  • グループダイナミクスが生まれる 

複数の人間が集まって行う研修では、グループダイナミクス(集団力学)が生まれ、個人では不可能なことが成し遂げられます。 

デメリット

複数で行うメリットも多い集合研修ですが、各種の制限があることも否めません。以下のようなデメリットが考えられます。

  • 時間・場所による制限

日常業務で多忙を極めるなか、特定の時間を研修に当てなければいけません。また、大人数が集まることができる場所や、各地から人が集まるのに便利な場所を探すのが困難な場合があります。

  • 受講者の知識や技術レベルによる制限 

受講対象者の知識や技術レベルが一定しておらず、全員に適切な研修を行うのが難しい場合があります。

  • コストによる制限

講師への謝礼、受講者がほかの場所から参加する場合は交通費や宿泊費、社外で行われる場合は会場のレンタル代など、場合によっては非常にコストがかかる可能性があります。

デメリットを補完するeラーニング

これまで集合研修のメリットとデメリットを明らかにしてきましたが、デメリットをカバーできるようなものは存在するのでしょうか。

集合研修を補うものとして、最近利用され始めているのがインターネットを使用したeラーニングです。時間や場所の制限がなく、自分のペースで学べて個々のレベルに対応することができます。また、コストが安いのもメリットです。

よって、知識の習得には便利な方法ですが、一人で学習することになるため集中力やモチベーションの維持や、フィードバックを行うのが難しいといったデメリットもあります。このため、集合研修を行いながら、より効果的にするためにeラーニングも活用するのが一般的になりつつあります。

集合研修の効果をより高めるための手法

集合研修の効果をより高めるためには、どのような手法があるのか見ていきましょう。

インストラクショナルデザインとブレンディッドラーニング

昨今よく耳にする言葉に、インストラクショナルデザイン(instructional design「教育設計」略してID)というものがあります。これは欧米で50年以上前から研究されている教育理論で、「効果的・効率的・魅力的に学習ができるように、さまざまな手法を組み合わせて、最適な学習環境を作る」ことを目標としています。

日本の企業においても、研修の効果を最大限にするために、インストラクショナルデザインの視点を取り入れたブレンディッドラーニング(blended learning)が行われることが多くなりました。ブレンディッド(混ぜた)という意味からも分かるように、いくつかの学習形態を組み合わせることにより、より高い研修効果の獲得を目指すというものです。

集合研修の場合でも、研修前の準備や研修後のフォローなどにほかの学習方法を組み合わせることで、より効果の高い研修を行うことができると考えられます。

ブレンディッドラーニングの一例:反転授業

ブレンディッドラーニングの効果的な手法の一つに、反転授業(flipped classroom)があります。

従来は、まず研修を行ってその後に自分で復習する、という形式がほとんどでした。反転授業はそれを逆転して、研修前にインターネットを利用した映像や資料で学習し、研修に臨むというものです。

反転授業を行うことで、限られた集合研修の時間を有効に使うことが可能になります。研修前に、個々で必要な知識を身に付けていることが前提になるので、実際の研修は対人でしか行うことができない内容(ディスカッション、グループワーク、プレゼンテーションなど)を中心に研修内容を組むことができます。

ブレンディッドラーニングの組み合わせ例

集合研修の効果をより高めるためには、前述の反転授業のようにeラーニングと組み合わせたり、集合研修後にフォローのためのOJTと組み合わせたりと、いろいろなパターンのブレンディッドラーニングが考えられます。
以下に、組み合わせ例をいくつか紹介します。

  • eラーニング(研修内容の予習)→集合研修→eラーニング(研修内容の復習)
  • 集合研修→eラーニング(研修内容の確認・疑問点の明確化)→集合研修(疑問点の解決)
  • eラーニング(研修内容の予習)→集合研修→OJT(研修内容を実際の業務に適用する)
  • eラーニング(研修内容の予習)→集合研修→フォローアップ研修(一定の時間をおいて行う。遠隔地ではWeb会議などを用いることもできる)

集合研修の効果を最大に引き出すには、 研修前に準備、そして研修後にフォローをしっかり行うことが大切です。そのためにeラーニングやWeb会議などの形も上手に取り入れて、限られた時間で行われる集合研修を、より充実したものにしていきたいですね。

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ワークハピネス
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