一体感を味わう対話「ワールドカフェ」のすごさ

日本人はディベートが苦手とよく言われますが、ディベートなどと気負わずに、気軽に人と意見交換をしたいと思ったことはありませんか? それを助けてくれるのが「ワールドカフェ」という活動です。アメリカ発祥のこの手法は、リラックスして他人と話ができるよう考えられたもので、ビジネスの会議や話し合いにも応用できます。この記事では、ワールドカフェの意義と進め方、そして実施するに当たっての注意点を説明します。

ワールドカフェとは何か?

ワールドカフェとは、アメリカのアニータ・ブラウン氏とデイビッド・アイザックス氏によって1995年に提唱された、対話コミュニケーションの手法です。堅苦しい会議室ではなく、カフェのようにオープンでリラックスした空間でこそ知識や知恵が生まれるとして、参加者の主体性と創造性を高めるためのポイントがまとめられています。

地位や年齢に関係なく誰もがフラットな立ち位置で、全員が自分の意見を言い、相手の意見を聞くことがメインの活動となります。

ワールドカフェの目的と効果

対話活動といっても、ワールドカフェの目的は、ひとつの答えや結論を出したり課題を解決したりすることではありません。参加者全員が意見を言い合い、認識を深めたり新たな気付きを得たり、参加者同士の理解を深めることが主な目的です。

少人数のグループを作って行われるため、お互いの意思疎通もしやすく、肩肘張らない雰囲気の中で自分と異なる考えに触れたり、興味のあるグループに移ったりできます。より柔軟な思考を生み出しやすい活動といえるでしょう。

これをビジネスでの企画会議に生かすこともできます。早急に課題の解決策を出さなければならない会議には向いていませんが、自由に意見交換し、着想を得てアイデアや企画を出す会議では効果が見られるはずです。これまでの堅苦しい「会議」のイメージを拭い去るために、ワールドカフェの手法を導入してみてもいいかもしれません。

ワールドカフェの流れ

ワールドカフェの大まかな流れを見ていきましょう。必ずしもカフェで行う必要はなく、少人数のグループで話せる空間であればどんな場所でも構いません。ただ留意しておきたいのは、気楽な対話を生み出すために、リラックスした雰囲気の環境を用意することです。

参加者で各4~5人のグループを作り、1回20~30分を目安に計3回ほど対話を行います。最初に問いを設定し、1回目のグループではそれについて自由に話し合い、出た意見を簡単に紙に書き出します。

2回目の対話では、各グループにホストを1人残し、ほかの人は興味のあるグループへ移ります。そして新たなグループにおいて、互いに自己紹介をして1回目の対話で話し合った内容を共有します。ここで、1回目に生まれた各グループの対話が拡散し、混ざり合うこととなります。この回では、他人の意見を聞いて思ったことや生じた疑問など、さらに掘り下げて話し合いましょう。

3回目の対話では、それぞれが1回目のグループに再び戻ります。2回目で得た気付きや意見を伝え合い、統合していくのです。

活動の最後には、参加者全員で出た意見を共有します。もとは違うグループから生まれた、さまざまな意見が会場全体に伝わることになります。

7つのルール

参加者全員が心地よくフラットに話し合うために、ワールドカフェにはいくつかのルールが設けられています。ここでは代表的な7つのルールを紹介します。

  • 参加者との対話を楽しむ
  • 発言している人の意見をきちんと聞く
  • 他人の意見を否定しない
  • 他人の意見へ統合することを受け入れる
  • 質問して対話を広げる
  • 話し合った内容を紙に書き留める
  • テーマに焦点を絞る

基本的に、他人の意見を認めることが前提となります。また、漠然と話をするのではなく、分からないことは質問したり、話がほかのことにそれないように注意したり、話した内容を紙に書いて視覚化したりすることで意識を対話に集中させます。

主催側は、ワールドカフェ進行に関する説明の際に、こうしたルールについても参加者とよく共有しておきましょう。

ワールドカフェとワークショップの違いとは

これまでの説明を読んで、「ワークショップのようだ」と思った方もいるでしょう。確かに、ワールドカフェはワークショップの一種なのですが、一般的なワークショップとは異なる部分があります。

ワールドカフェにはグループの司会進行役がいない

グループの活動では、司会進行役のファシリテーターを定めることが多いですが、ワールドカフェにはそれがありません。会場全体の進行を取り仕切ったり、説明を行ったりするファシリテーターはいますが、各グループの司会をすることはありません。

その代わり、2回目の対話でグループを移動するときは各グループのホスト役を決めます。ホストは司会ではなく、新しくグループに来た人に1回目の対話で出た意見を伝える役割を持ちます。

ワールドカフェは話し合い(対話)に特化している

ワールドカフェでは、何かを作ったり、座学で何かを学んだりすることはありません。することは対話のみです。基本的に、特別な準備はいりませんし服装も自由です。自分がくつろぎやすい状態で参加することを心掛けます。

意見を言い合い、お互いの理解を深めるのが目的で、それ以外はありません。ほかの人に自分の話を聞いてもらえること、そして他人の考えを理解しようとすることで、一体感が生まれます。そして、自分とは異なる意見から学ぶことも多くあるでしょう。

ワールドカフェは「問い」を設定する

ワールドカフェを行う際には、必ず「問い」を設定します。問いを決める際のポイントは、「考えるきっかけを提供するものにする」ことです。例えば「〇〇の問題は何か」という問いでは、問題や過去のことに意識が集中しやすいので「〇〇をどうすれば改善できるか」「〇〇を良くするために何が必要か」など、未来のことやポジティブな側面を考える問いが好ましいです。また、対話中は脱線し過ぎないように常に問いを意識することが大切です。

ワールドカフェを行うときの注意点

ワールドカフェを効果的に行うため、また充実した対話にするために、気をつけておきたいことがいくつかあります。参加した人が「どうも盛り上がらなかった」「しっくりこなかった」という思いをしないためにも、以下の点に注意して進めましょう。

各グループの人数

1グループ当たりの人数は、最大5人までとします。6人以上では、1人当たりの話す時間が短くなるため、意見交換がしづらくなってしまいます。参加者が話し足りないまま次のラウンドに移ってしまうと、モチベーションが下がってしまうこともあります。

司会進行役をおかない

前述のとおり、ワールドカフェではグループごとの司会進行役を設けません。特定の人が対話を取り仕切ると、自由度が限られてしまうからです。ホストも司会進行をしてはいけません。メンバーの誰もが話し手になり、聞き手になることが求められます。

議論の収束を期待しない

例えば、問いが「〇〇を改善するためには何が必要か」という場合でも、この解決策をひとつに決定する必要はありません。結論を出すことが目的ではないからです。一人ひとり違う意見を持っているのは当然で、自分と違う意見を受け入れて耳を傾け、さらにそこから対話を広げていくことが肝要です。

結論の発表はしない

従って、ワールドカフェでは「結論の発表」をする必要はありません。「結論を出さないといけない」と思うと、途端にプレッシャーがかかり、自由な意見交換よりも結論を出そうとする方向に対話が向かってしまいがちです。問いの答えを出すことではなく、参加者全員がのびのびと意見を共有することが、ワールドカフェの意義だと理解しましょう。

 

参加者全員が、リラックスした雰囲気で対話に入り込める活動にすることが最も重要です。ワールドカフェの目的を理解し、実際の会議やビジネスの話し合いにも活かしましょう。これまでより人との意見交換が楽しくなり、普段は出てこないようなアイデアが生まれてくるかもしれません。

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ワークハピネス
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