メンターとメンティーとは? 若手の育成方法として注目されるメンター制度について

バブル崩壊後の採用差し控え、また終身雇用制の崩壊や止まらない人材流出……。これらが原因で、今、多くの企業で若手社員の相談に乗り、育成や指導をすることができる先輩社員がいない、という状況が起こっています。

今回は、そのような状況を打開する方法として最近注目されている、「メンター制度」についてご紹介します。

メンター制度とは

メンター制度とは、他部署の先輩社員が若手社員の仕事上における悩みや不安の相談相手になり、指導・育成する制度のことをいいます。

比較的年齢差がなく、また自分の業務とは関わりのない他部署の先輩がパートナーになるため、上長には話しにくいことも相談でき、若手社員が順調なキャリアをスタートするための有効な方法として、最近注目が集まっています。

メンター制度の起源

「メンター」とは、英語で「助言者」という意味で、ギリシャ叙事詩「オデュッセイア」の「メントル」という人物の名に由来しています。メントルはオデュッセウス王の親友で、王の息子テレマコスが将来立派な王になれるよう、政治学や帝王学の教授はもちろん、優れた人格の持ち主になるように教育した、といわれています。

メンター制度の目的

大きな目的としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 若手社員の育成と定着
  • 企業文化の継承
  • 社内コミュニケーションの活発化

これまで日本企業では、新卒一括採用、年功序列、終身雇用が一般的でした。そのなかで先輩・後輩の関係がごく自然に生まれ、オン・オフのさまざまな機会に、先輩社員は若手の悩みを聞いてあげたり、問題解決のための助言をしてあげたりしました。その若手社員がやがて先輩となり、自分がしてもらったように後輩の相談相手になる、という具合に引き継いでいったものが、終身雇用制の崩壊以来、次第に行われなくなってきました。

自然発生が無理なら、ひとつの制度として先輩・後輩の関係をつくり、若手の育成や定着、企業文化の継承、そして社内のコミュニケーションの活発化を図ろう、というのがメンター制度の目的なのです。

メンターとメンティー、メンタリング

メンター制度では、指導する側のことを「メンター」、指導される側のことを「メンティー」と呼びます。また、一対一の対話により、個人の成長をサポートする指導法を「メンタリング」といいます。

メンターはメンティーより2~5歳ほど上の先輩社員が務めることが多く、自分の経験を生かしメンティーの身近なロールモデルとして、心理的不安やキャリア上の悩み、また人間関係の問題などの相談に乗り、アドバイスを行います。

メンティーとしては、直属の上司ではなく年も近いために気楽に相談でき、第三者の視点からアドバイスを受けることができます。

一般的にメンターは、世話好きで後輩が成長していくことに関心を持つ人、またメンティーから受けた相談内容の秘密を守り、信頼関係が築ける人が適しているとされます。

OJTやコーチングとの違い

メンター制度に似ているものに、OJTやコーチングがあります。主に若手社員に対する人材育成の方法である点はいずれも同じですが、では、メンター制度とOJTやコーチングとの違いはどこにあるのでしょうか?

OJT

OJT(On the Job Training)とは、その名が表すように仕事に必要な知識やスキルについて、業務を通して若手社員に身に付けさせることをいいます。この場合、ほとんどが直属の上司や先輩が指導に当たります。

メンター制度の場合は、直接利害関係のない他部署からメンターが任命されるのが一般的ですが、OJTでは直接業務指導をするために、同じ部署内でトレーナーが任命されます。

コーチング

コーチングは上から指示や命令をするのではなく、一対一の対話を通して自らの気づきを促すという点で、メンタリングとよく似ています。

ただ、コーチングの場合は、仕事上の「特定の目標の実現」に向けて行われることが多く、メンタリングのように、企業で働くうえで突き当たる悩み全般(特に心理的なもの)を扱うわけではありません。あくまでも目標の実現に向け対話するのがコーチングの特徴です。

メンター制度を有効活用するために

せっかく導入を決めたメンター制度なら、ぜひ有効活用できるようにしたいものです。    

そのためには、メンターとメンティーを決めたら終わりではなく、その制度がうまく機能するように企業としてサポートしていくことが必要です。

メンター養成講座

メンター対象者に向けた講座で、メンターとして必要な知識やスキルを身に付けます。ワークショップをはじめとする参加型の形式が効果的とされます。研修内容としては、メンタリングの定義や目的、メンターになる利点、メンタリングの方法やルールに関する講義と、実際のメンタリングの状況を想定したロールプレイやディスカッションなどが考えられます。

メンティー研修

メンティー対象者に向けた、メンター制度についての説明と活用方法、またメンターとの関わり方など教える講座です。入社時や、メンター制度導入時に行います。

企業トップのバックアップ

メンター制度がうまく機能するためには、企業のトップがメンター制度をバックアップする姿勢を見せ、メンターの活動を評価したり、社員用ホームページなどを利用したりして、メンタリングの重要性を社員全員に周知させることが大切です。

このように、メンター制度を十分に機能させるためには、メンター側およびメンティー側それぞれに「メンター制度」に対する理解を促し、積極的に活用するよう働きかけることが大切です。同時に、企業風土や業務内容の理解も必要になるため、全社を挙げて周知させていくことが求められるでしょう。

若手社員の定着や社内のコミュニケーションの活性化のためにも、メンター制度を導入し定着させていきたいものですね。

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ワークハピネス
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