新刊『AI時代に輝く経営の教科書』の「はじめに」を無料公開します!

弊社代表吉村の新刊AI時代に輝く経営の教科書』(2018年8月2日発売)の「はじめに」を無料公開します。

AIに仕事が奪われる、お金や出世に興味のない若者、human2.0の大量出現。過去最大の難局ともいえるこの環境激変期を乗り越える為の経営セオリーを、ビジネストレンド、組織心理面の両面から解説しています。

「はじめに」で興味を持っていただけましたら全文まで読んでいただき、レビューコメントなどでご意見を聞かせてもらえますと嬉しいです!

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イノベーションを起こして戦いの土俵を変えろ!

あと数年でAIによる自動運転が現実となる。ライドシェアサービスを提供しているUber社は自動運転車による移動サービスの提供をビジョンとして掲げている。多くのタクシー会社も自動運転タクシーによる移動サービスを提供することになるだろう。ドライバーのいないタクシー会社の経営者は何を差別化要因として競うのか?

自動運転車と配車システムへの設備投資競争が待っているとするならば、資本力の無い企業はどうやってAI化と戦えばよいのだろう?

同じ問いは運送会社にも当てはまる。ドライバーがAIに置き換わり、倉庫内作業もAIとロボットがこなす世界になった時、資本力の無い運送会社はどうやって生き残るのだろう?

さらに悩ましい喫緊の問題がある。現在、タクシー業界も運送業界も空前の人手不足だ。近い未来にAIやロボットに代替されてリストラすることになる人たちを集めるために多大なコストと時間を使わざるを得ない「採用のジレンマ」。自動運転がやってくることを知りながら人々にドライバーとなることを必死で説得する経営者は不誠実のそしりを免れないだろう。 

「AIとの戦い」と「採用のジレンマ」は今からさまざまな産業に襲いかかってくる。アメリカではAIカメラを搭載した警備ドローンが不審者を発見し追跡している。飛べない警備員は不要だ。コールセンターではAIのチャットボットが顧客の質問に答えている。イギリスではチャットボットのAI弁護士が駐車違反の異議申し立てで活躍し、一六万件の違反切符の撤回に成功している。二〇〇〇年に六〇〇人いたゴールドマン・サックスの高報酬な為替ディーラーが現在は三名だ。

多くの会社には単純作業やルーティン作業をこなす大量のオペレーター従業員がいる。今からオペレーター従業員が順次AIやロボットに代替されていく。報道によると、メガバンクでは今後、契約書の作成や融資の審査業務がAIに代替され数万人規模で行員が不要になるとのことだ。時を同じくして銀行の就職人気ランキングは急降下している。安定志向と言われている若者もバカでは無いのだ。

自動運転のニュースを見聞きしている若者が正社員としてドライバーに応募することは無いだろう。それでも経営者は今を生き延びるために今日も人材募集に奔走し、不誠実な説得を繰り返す。

AIの普及期、経営者は「AIとの戦い」と「採用のジレンマ」に対峙し続けることになる。ROEを競っている大企業の間では、今まさにAIとロボットの実装競争が始まっている。AIとロボットをライバルよりもいち早く実装し、誰よりも安い価格を提示できた企業が独り勝ちする。

その代表格がアマゾンだ。アマゾンによってトイザらスをはじめとする多くの量販店や百貨店が倒産した。この競争に勝つためには巨大投資が必要だ。さまざまな産業でAIとロボットに巨大投資を行なったAI集積型オペレーション企業が独り勝ちするだろう。

資本力の無い企業はAI集積型オペレーション企業では生み出し得ないイノベーションで対抗するしかない。やがてリストラするしかないオペレーター人材の採用に奔走する「採用のジレンマ」に陥るくらいなら、歯を食いしばってイノベーションを起こして戦いの土俵を変えるほうが合理的で誠実だ。

モノの値段が劇的に下がる

労働生産性の分母は常に労働投入時間だ。AIとロボットが人間の仕事を奪うことにより労働生産性は無限に高まり、モノの値段は無限に下落していく。

一〇年前に五〇インチの薄型テレビは五〇万円した。今は五万円だ。これはグローバル水平分業が生活者にもたらした利益だ。日本で設計して、台湾で半導体を製造し、人件費の安い中国や東南アジアで組み立てる。

今からこのグローバル水平分業にAI化とロボット化が足される。世界最大の製造業であるフォックスコンのテリー・ゴウCEOは、現在一二〇万人いる工場労働者のほとんどをロボットに置き換えると宣言している。

天然資源をロボットが掘り出し、自動運転のロボトラックが運び、ロボットが工場内のラインに搬送し、組み立て、梱包し、出荷する。五〇インチ五万円の薄型テレビが五〇〇〇円になる日は近い。

私たちが手にするスマホには数十個のセンサーが組み込まれており、その値段は一個数十円だ。毎年数億個のスマホが売れることで、センサーの価格が大下落した。世界中のあらゆるモノにセンサーが付けられてIoTが進展すると、世界中のリソース(資源)と生産能力が見える化する。

見える化し、ビッグデータとなった資源や生産能力をAIが最適化すれば世界中から無駄や偏りが消える。生産・分配効率が飛躍的に増大し、世界から飢餓や貧困が無くなるだろう。

モノの値段が劇的に下がっても世界の需要量が激増することはない。五〇インチの薄型テレビの値段が一〇分の一になっても家にテレビ一〇枚は置けない。高まりすぎた効率は製造業を中心にその総収入を下落させるだろう。

猛烈な勢いで単価の高いまだ見ぬサービス業を立ち上げられないならばGDPとその分配たる個人の所得も下がって行かざるを得ない。

しかし、生活必需品の値段が下がること、ネット上に無料のエンタメソフトが溢れていること、洋服や工具・器具などの遊休リソースをスマホで最適に個人間でシェアリングすることによってGDPでは計測できない豊かな暮らしが実現するだろう。

AIとロボットによって、私たちの生活環境は激変することが予想される。経営のパラダイムを大転換する時がきている。

「飢餓」がイメージできないヒューマン2・0の出現

人類は誕生以来、飢餓との戦いというパラダイムの中で生きてきた。飢餓から逃れるため、限られた資源を競い、奪い合って生き延びてきた。私たちは飢餓サバイバーの子孫だ。共産主義対資本主義の戦いは、飢餓の撲滅において、「パイの適正な分配」vs「競争による生産性向上」であり、いずれが優れているか、という壮大な実験だった。

軍配は資本主義に上がったとみていいだろう。北朝鮮にはいまだ飢餓が残り、資本主義社会では格差の拡大という偏った分配の問題は出ているが飢餓は撲滅された。

我われ世代の経営者は、戦争を知っている親に育てられた。彼らは「飢餓」という言葉にリアルなイメージを持っている。そして彼らは「働かざる者食うべからず」、「石の上にも三年」、「努力は報われる」という言葉は永遠の真実と信じていた。勤勉に働いて「いかに穏やかな老後を迎えるか」が人生最大のテーマだった。

最近の若者はどうだろう。戦争を知らない親に育てられた若者の脳裏には「飢餓」という単語はリアリティを持っていない。生まれた時からエアコン、テレビゲーム、携帯電話があり、シックスポケットによって何不自由なく育った。

若者は音楽、動画、ゲームといったエンタメを無料で楽しむ手段を持っている。フェイスブックやツイッターで「自転車が必要なのですが、誰か譲ってくれませんか」と呟けば、大抵は誰かからタダでもらえる。月四万円でお米食べ放題、といったシェアハウスまである。

仲間がいてエンタメがあって、生活必需品は融通し合って、日常のほっこりした一コマをスマホで切り取ってSNSに上げ、「いいね !」をもらって満たされる。若者はそれほどお金を使わずに人生を楽しむ術を知っている。

ゆとり教育で「自分らしくありなさい」、「好きなことをやりなさい」とたたき込まれた若者は、ある職業に関して、「好きで才能があれば、努力なしで成功する」と信じている。若者の人生のテーマは「いかに自分らしく楽しく生きるか」である。

「働かざる者食うべからず」は的外れな極論で、「石の上にも三年」、「努力は報われる」は、情報が少ない時代の生存戦略で、現代ではコスパが悪すぎる。

「お金がなかったら結婚できないぞ。子どもを育てられないぞ」と大人は言う。しかし、結婚も子どももある意味、飢餓対策の習慣にすぎない。アフリカはいまだ子だくさんだ。子どもは労働力であり、年金代わりの老後の生活保障。先進国において子育ては趣味だ。年金があって老後の心配がない国の若者は自分の趣味趣向に合わなければ、結婚も子育てもしない。若者の草食化は育った環境がもたらした必然なのだ。

「結婚しない人が増えたら人口が減ってしまう !」と政府は心配する。これも既成概念だ。有限な資源しかない地球で人口が無限に増え続けることは不可能だ。先進国最先端の日本で人口が減っていくことは、地球がサスティナブル(持続可能である状態)に向かっている良い兆候でしかない。

「人口が減れば国力が落ちて安全保障問題に発展する !」と唱える政治家もいる。ご安心を。昔と違って世界の時価総額のトップ一〇はアップル、グーグル、アマゾン、フェイスブックといった平和産業だ。ダグラス・エアクラフト、グラマン、ロッキード・マーチンといった軍産複合体ではない。政治に影響力のある巨大企業のトップたちは誰も戦争を望まない。

また、世界中で多くの人々がSNSで情報発信し、戦争による人々の死の悲しみを、瞬く間に世界中に広げていく現代である。戦争に耐えられる政権はオフラインしている北朝鮮ぐらいだ。若者の戦死をネットで突きつけられて戦争を継続できる民主主義国家はない。

戦争の根本理由は水・食料・エネルギーといった希少資源の奪い合いだ。IoTが進展して、資源や生産能力の余剰や偏りをAIが最適化すれば、生産・分配効率が飛躍的に増大し、世界から飢餓や貧困がなくなる。戦争を起こす根本原因がやがて消える。

現代の先進国の若者は人類史上初めて、脳の片隅にも飢餓や戦争のイメージを持っていない。これは人類史において画期的な転換点だ。彼らをヒューマン2・0と名付けよう。

我われ世代の経営者は人類誕生以来の永遠のテーマであった飢餓サバイバルが刷り込まれているヒューマン1・0だ。果たして我われヒューマン1・0はヒューマン2・0が生産と消費の主体となる未来に対処できるのだろうか?

AIに人間が優っているのは「願望」を抱く力

経営者の仕事は大別すれば新しいものを生み出すイノベーションと安定的に生産・サービスを提供するオペレーションの二つしかない。今後、オペレーションに関してAI&ロボットの独壇場になる。オペレーションしかできないなら経営者であってもAIに代替されて退場だ。

今からは、イノベーションだけが経営者の仕事になる。AIはイノベーションを起こせない。何故なら、イノベーションは、「人の喜びを増やしたい !」、「悲しみを減らしたい !」という個人の「願望」から始まるからだ。

肉体のないAIには「願望」がない。AIはいわゆる「指示待ち族」なのだ。「願望」を抱く力は感動で体が震える人間だけに与えられた特権なのだ。ところが、皆さんの会社の従業員はどうだろう?

人間なのに「願望」がなく、「指示待ち族」で、言われたことをただ粛々とこなすオペレーターではないだろうか?「あなたは何がしたい?」と問いかけても、「特に何もありません。指示をいただければやります」と答える。

素直でよろしいが、AIやロボットと違ってたまにミスをする。これではAIやロボットの劣化版だ。人間の「指示待ち族」は、早晩AIやロボットに職を奪われるだろう。

高度経済成長期のように先が見えていた時代は、終身雇用、年功序列、企業内組合といった日本的経営の三種の神器を用意し、会社へ依存させ、その見返りとして従業員から忠誠心と勤勉をもらうことがビジネス環境として合理的だった。しかし、AI化が押し寄せている今、依存体質で指示待ちのオペレーター従業員は変化への足枷でしかない。

今から経営者がやるべきことは「願望」を持ったイノベーターを育てることだ。「願望」は、持って生まれた資質ではない。経営者が適切に刺激を与えれば従業員の「願望」は育つ。

経営者は社員に依存しろ!

レコードプレーヤーを作っていた会社はなぜ消滅したのか?自らをレコードプレーヤー製造会社と位置付けていたからだ。役目を終えれば消滅するのが組織の定めである。しかし、自らのミッションを「音楽のある豊かな人生を増やす」と定義していれば、ウォークマン、CDプレーヤー、iPod&iTunes、そして定額音楽配信サービスといったイノベーションを生み出せたかもしれない。ソニーは途中までできていたのに、音楽レーベルを内包していたためにカニバリゼーションに配慮してアップルに敗北した。

巨大自動車メーカーも、自家用車製造会社と定義していたなら自動運転車のシェアリングが進むことによって消滅するだろう。ミッションを「すべての人に自由な移動の喜びを与えること」と定義していれば、さまざまな移動サービスイノベーションを生み出して存続できるだろう。

未来が見通せない時代、経営者が責任感を持ってミッションやビジョンを示すことはマイナスでしかない。「未来は私もよくわからない !」と無責任になるべき時だ。アメリカに「レンタカーを洗う人はいない !」というモチベーションに関する格言がある。経営者が責任感を出してミッションやビジョンを示せば示すほど、社員は安心して依存して仕事がレンタカーになってしまう。マイカーならば頼まれなくても洗う。

経営者が「俺もわからない。みんなで考えてくれ !」と無責任になれば、社員たちも自分ごととして頭を使い始める。頭を使い、行動を起こせば「願望」が湧いてくる。「経営者として無責任だ !」と叫ぶ従業員もいるだろう。

しかし、わからないものはわからないのだ。男気を出して、「俺に任せておけ !」と社員を安心させておいて、「AIとの戦い」に負けて企業として突然死なんてことになったら、備えと覚悟のできていない社員たちにはかえって迷惑だろう。安心してもたれかかれる職場など、もはや存在しない。

ルールに従って正確に処理するお役所仕事はAIの得意技だ。自動運転が当たり前となった二〇年後、現在九七%駐車場に止まっている自家用車を製造するトヨタ自動車が今の形で存続しているとは思えない。個人と個人を繫ぐクラウドファンディングやソーシャルレンディングが普及した先に、金融仲介業者である三菱UFJ銀行などのメガバンクが存在しているとも思えない。

イノベーションを起こして「AI化からの生き残り問題」と「採用のジレンマ」を乗り越えろ!

今こそ経営者が従業員に依存する時だ。「俺もわからない。一緒に未来を考えてくれ !次の一〇年の我われの『存在意義』、『使命』、『ミッション』を一緒に発見してくれ !」と社員に依存するべき時だ。

頼られれば人は強くなり、自立する。子どものいない女性と母親の自殺率は極端なほど違う。子どもを守るという「ミッション」を帯びると人は強くなるのだ。

「未来を予測する最高の方法は未来を自ら作ってしまう」ことだ。重要なのは情報収集と分析ではなく、一人一人の内面に問い掛けて「願望」を発見することだ。

企業の「ミッション」とは「人々の喜びを増やしたい」、「悲しみを減らしたい」という個人の「願望」から始まる。

企業の「ミッション」は「存続」することではない。「存続」は「ミッション」を全うするための手段でしかない。経営者や社員に「願望」がないならば、不確実性の高いこの時代、「解散」も一つの選択肢だ。下手にあがいて延命すると多くの社員の人生に多大な迷惑をかける。

「願望」があるならば、AI&ロボットは「使命」を効率的に果たすためのチャンスでしかない。大いに活用すれば、より多くの人々を幸福にできる。やがてAIに駆逐されることになるオペレーション社員を採用し続ける経営者は不誠実だ。

経営者がやるべき事は、「ヒューマン2・0」の「願望」を引き出し、大資本を投入するAI集積型オペレーション企業がなし得ない我われの「ミッション」を発見してイノベーションを起こすことだ。

イノベーションを成功させる秘訣は勝つまでやめないことだ。自社の「存在意義」、「ミッション」を共有すればチームに巨大な勇気が生まれ、やがて経営者は想像を超えたイノベーションを目にすることになる。 

三年前の報道を見てみると「自動運転は二〇三〇年に実現の模様」だった。しかし、現在の報道は「あと数年で実現」だ。ハードウエアの更新時期を待たずにAIというソフトウエアのアップデートだけで自動運転は実現する。産業ロボットもAIを搭載したカメラを装着するだけで自律制御が可能となる。

第一次産業革命の蒸気機関とは違い、第四次産業革命のAIというソフトウエアの社会実装スピードは我われの想像よりも速いと思ったほうがよい。

残された時間は意外と少ないのだ。この本が「AIとの戦い」と「採用のジレンマ」を乗り越える誠実な経営の助けになったら幸いだ。

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